2019年の暮れ、ある鉄工所(A鉄工)の社長様から御相談をいただきました。
「当社の製品の主要原料は銅です。
最近、銅の値上がりが激しいので2年分くらいの纏め買いを考えていますが、
父の代からお世話になっているコンサルの先生が
『纏め買いなど言語道断、ゼロ在庫が製造業の鉄則です』
とおっしゃって譲らないのです。私はどうするべきでしょうか?」
私は申し上げました。
「社長様が原材料価格の乱高下からしばらく解放され、他の重要な経営課題に専念できるなら、原材料の纏め買いも悪いことではないように思います。もちろんメリットもデメリットもあることですからら、一緒にシミュレーションをして行動を決めましょう!」
社長様の表情は明るくなったように感じましたが、
そこに件のコンサルさんが現れて、どこかのチャートを見せながら言うのでした。
「銅の値段なんて上がってないし、これからも上がることはありません。在庫削減は経営の根幹だということを絶対に忘れないでください!」
その後、社長様から連絡はぱったり来なくなりました。
年が明けると、あのコロナのパンデミックが始まり、
世界の物流の混乱でさらに銅価格は高騰しました。
さらに2年後・・・
A鉄工様が倒産し、社長様は事業を閉じられたと聞きました。
とても残念に思いました。
とはいえ、最後に判断するのは社長様。
社長様が「それで良い」と決断された以上、私にはどうすることもできなかったのです。
でも、今改めて思います。
2019年に相談を受けた時、
私は「在庫を増やしましょう」などと提案したわけではありません。
「先入観を排し、在庫をどう持つべきかを客観的にシミュレーションしてみましょう」
と申し上げただけです。
そしてシミュレーションをするためには、
変動費と固定費をしっかり分離し、
変動費と固定費のそれぞれの内訳を明確にした新しい管理会計を
どうしても使っていただかなければならないのです。
「同じ失敗を繰り返すまい!」
私は決意を新たにしたのでした。
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