脱炭素の達成に向けた計画を作るとき、
「脱炭素経営の基本式」の使用をお勧めさせていただいております。
脱炭素経営の基本式は以下の通り。
化石燃料使用量(≒CO2発生量)
=①事業規模÷②エネルギー効率×③化石燃料依存率
基本式の、①事業規模は
「付加価値」で表します。
誤解の多いところですが、事業活動の目標とは売上高や利益ではありません。
本当の事業目標は、まずは従業員の暮らしを支え、
出資者から期待される資本コスト(WACC)全体を達成することです。
ですから、その原資となる付加価値で事業規模を表現します。
基本式の、②エネルギー効率は
「付加価値÷全エネルギー使用量」で表します。
エネルギー効率を高めれば高めるほど、CO2を削減する効果が高まることになります。
基本式の、③化石燃料依存率は
「化石燃料使用量÷全エネルギー使用量」で表します。
化石燃料依存率を下げれば下げるほど、CO2を削減する効果が高まることになります。
この基本式により、実際にCO2削減に向けた経営計画(例えば46%削減)を立てる場合には3つの選択肢があることが分かります。
選択肢1:事業規模を46%削減する。
確実にCO2は減らせますが、決して望ましい結論ではないでしょう。
脱炭素の目標とは、環境(CO2)と経済(付加価値)のバランスを取ることでもあるからです。
選択肢2:エネルギー生産性を1.85倍に高める。
これはCO2を削減するだけではなく、エネルギーコストも削減する方法であり、最も望ましい方法です。
最終的に(例えば2050年に)化石燃料の枯渇による価格高騰、限られた再エネによる事業活動の維持を想定するなら、エネルギー生産性をしっかり高めておかなければなりません。
選択肢3:化石燃料依存率を46%下げる。
これはCO2を削減しますが、エネルギーコストは削減できません。
クレジット等に頼って実質的なCO2削減を試みる場合、高騰するエネルギー費に、さらにクレジット等の代金が重畳し、致命的なコストアップになる可能性もあります。
実際には、選択肢2(本質的)と選択肢3(一時的)を組みわせた計画が策定されるでしょう。
例えば、エネルギー生産性が1.8倍、化石燃料依存率が80%にできるなら、
事業規模を1.2倍に増やしてもCO2削減46%を達成することができます。
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