「直接原価計算=管理会計」ではありません

財務会計(良く見せるための会計)と管理会計(良くするための会計)は全く別なものですが、実務から遠い専門家の方々には管理会計のイメージが湧きにくいケースもあるようです。
両者の違いを整理してみましょう。

★財務会計
①外部会計である
株主や投資家などの外部関係者に、経営成績を開示するためのもの
②法定会計である(決まりの会計)
会社間の比較可能性を担保するために、開示の様式がしっかり決められている
③過去会計である
過去の意思決定の結果を示すもの
④良く見てもらうための会計である(どう見せるか?)
経営課題を明示したくないという意図が、どうしても働く
⑤原価計算に全部原価計算を用いる
⑥会計専門家が指導し、簿記等で習う

★管理会計
①内部会計である
経営者などの内部関係者が、経営目的達成のために使うも
②自由会計である
会社間の比較可能性を担保する必要はなく、目的に合わせて自由にデザイン可能(デザインしなければならない)
③未来会計である
未来に向かう意思決定を支えるためのもの
④良くするための会計である(どう実現するか?)
経営課題を率直に把握したり、経営施策の成否を知りたい
⑤固変分離を徹底した原価計算を用いる
⑥会計専門家の関心が低く、研究の遅れ があった

管理会計は、自由にデザインできる会計ですが、自由にデザインしなければならない会計であり、その意味で専門家の支援が必要です。

管理会計の根幹は、変動費と固定費の分離。

ここで注意していただきたいのは、
原価計算に直接原価計算を使ったものが管理会計だという誤解です。

誤解の原因は直接原価計算の抱える2つの問題。
①「直接」という名称を冠するゆえに直接費と変動費の混同を生じている
②「原価計算」という名称を冠するゆえに売上原価(≒製造原価)と販管費の分断が解消されない

この問題の背景には、
変動費と固定費、直接費と間接費、売上原価と販管費という超基本概念が、きちんと整理されてこなかったという会計の現実があるように思います。

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