大企業の会計と、同じではいけない理由

今日の会計経理の起源は、大航海時代の商人の工夫に遡ります。
航海の成功を出資者に報告し、さらに出資を引き出すための実用が、複式簿記、B/S、P/Lを生みました。

ところが企業会計の現実は実用からほど遠い状況です。

✔固変分離の重要性を疑う専門家はいないのに、現実には変動費・固定費・直接費・間接費がごちゃごちゃで分離は全く成功していない。
✔販売費が一般管理費と一緒にされ「販管費」になるのは常識だけど位置がおかしい。本当は売上原価と一緒にして「売上原価および販売費」にすべきでは?
✔減価償却の償却期間や償却方法について「経済的便益を反映する方法」を要求されているのに、それをきちんと指導してくれる専門家を見かけない。
✔毎日、生産向上を求められるけど、その会計的定義は案外と曖昧なまま、等々

おそらく大企業の会計(特に外部開示のための財務会計)は、多くの関係者の利害が衝突して身動きがとれなくなっているのです。
日々の経営課題を率直に把握して向き合うことへの抵抗感も強いのかもしれません。

でも、それでもなんとかやっていけてしまう大企業と同じ会計を押しつけられたら、中小製造業は困ります。
中小製造業の会計は、もっと実用的でなければなりません。

昨今の会計のもう一つの問題は、人を過度にコスト視してきたことです。
これは既存の会計の出発点が、出資者(株主)への報告書だったことからくる視点でしょう。
そのため、人(従業員)から取り上げて出資者へのリターンを増やすことが経営の目標とされがちでした。
国内で試みられてきた多くの「変革」も同様です。

しかし、こうした変革でもたらされる効果は一時的なものに過ぎません。

会社を支える従業員は意欲を失い、やがて「縮小と衰退の悪循環」が始まります。
これこそが、日本の失われた30年の一つの構図だったのです。

物価高騰や戦争や異常気象という時代を生き抜くには、自主的に動ける人材を育て、イノベーションを起こさなければなりません。
身軽な中小製造業は大企業とは異なる「正しい管理会計」を導入し、人を育てることができます。

もちろん、新しい管理会計の導入は簡単なことではないでしょう。
「会計を変えること」は「会社の形を変えること」でもあるからです。

しかし、もし会社が生きるか死ぬかの瀬戸際にあるのなら、ぜひ正しい管理会計に挑戦してみてください。
本当に本気で取り組めば、会社を再生するためにやれること/やるべきことが、きっとたくさん見えてきます。

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