変動費と固定費を分けることは、管理会計の大原則です。
管理方法も、管理目的も、管理責任の所在も異なる費用を混ぜたら管理不能だからです。
(これが、日本中の会社でコストダウンと生産性向上に失敗している理由です)
ところで、
固変分離を徹底しようと思うと固定費配賦も止めなければなりません
すると、既存の会計専門家の方から、たくさんのブーイングが・・・
ブーイング1
固定費を配賦して、きちんと費用管理するべきだ。
ブーイング1への答え
固定費(重要な固定費)は、経営者が金額を決めるものです。
金額で決められたものは、金額で管理しなければ、
金額的の逸脱の有無や、生産性の良否が管理できません。
固定費をきちんと管理するためにこそ、配賦を止めるべきなのです。
ブーイング2
固定費を配賦しないのなら、どうやって固定費を管理すれば良いのか?
ブーイング2への答え
売上原価側の固定費は配賦されますが、販管費側の固定費は配賦されていないはず。
それと同じに管理すれば良いだけです。
もし「配賦しないと固定費管理ができない」という疑問が湧くなら、
それは今まで販管費側の固定費管理がほったらかしだったことの証拠。
実際、日本のホワイトカラー(販管費側の固定的労務費)の生産性が低いと言われています。
ブーイング3
固定費を配賦しないと、費用収益対応原則に反するのでは?
ブーイング3への答え
固定費の配賦は、配賦基準の選び方や稼働率で激変します。
例えば、工場長の100万円の労務費は、
10000台で割れば@100円ですが、
100台で割れば@10000円になってしまいます。
こんなに固定費の配賦額が変動したのでは、
1円1銭を積み上げる変動費のコストダウン努力が台無しになります。
そもそも、これほど激しく固定費の配賦が変動するのは
固定費と、売上高(や他の変動費)との間に対応関係が存在しないからです。
と申し上げると、
「電気代や水道光熱費は対応している」と言われることがありますが、
これらは間接的に測定される間接変動費(間接費)ではあっても
真の固定費ではありません。
固定費と間接費(あるいは変動費と直接費)が
きちんと定義されてこなかったことの弊害が、
こんなところにも現れているのです。
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