ビジネスモデルの転換が、脱炭素への道

脱炭素を語るとき、クレジットの充当や水素への期待が語られます。

しかし脱炭素とは、資源枯渇への備えでもあることを忘れてはなりません。

上記の方策だけでは、CO2の削減にはなるかもしれませんが、エネルギーそのものの節減にはならず、近い将来にエネルギー価格の高騰とクレジットの購入のダブルパンチで事業を危機に晒すリスクがあります。

脱炭素の達成の軸はエネルギー生産性の向上です。

生産性の向上こそが、エネルギー価格の高騰に耐え、CO2をはじめとする環境負荷を下げて生き残る道です。

そして、このエネルギー生産性の向上を踏まえて、会社は自社の事業ポジションの現状を点検し、今後のポジションを慎重に検討していかなければなりません。

事業ポジションを点検する際の軸は、以下の2軸です。
①事業が、エネルギー多消費型か、省資源型か
②提供する製品サービスが、生活必需品か非必需品か

<ポジション1>・・・多消費型で非生活必需品
私はこのポジションをステップダウンと呼んでいます。多消費型なので資源価格高騰の影響を強く受けますが、生活必需品ではないので売価は上がりません。早晩、付加価値がマイナスになってしまうリスクがあります。事業の現状がステップダウンなら、他のポジションに計画的に移動していかなければなりません。

<ポジション2>・・・多消費型で生活必需品
私はこのポジションをイノベーティブと呼んでいます。多消費型なので資源価格高騰の影響を強く受けますが、生活必需品なので売価も上がります。ただし、激しい技術革新競争になる可能性があり、それに耐えられるイノベーティブな社風を醸成しなければなりません。代替品の出現に注意を払う必要もあります。

<ポジション3>・・・省資源型で生活必需品
私はこのポジションをサステナブルと呼んでいます。省資源型で生活必需品なので、持続可能性のあるポジションです。ただし無風で競争無しというわけではなく、コスト管理や在庫管理などで失敗しないようにしなければなりません。適切な管理会計の導入はMUSTでしょう。

<ポジション4>・・・省資源型で生活必需品
私はこのポジションをユニークと呼んでいます。非生活必需品ですが省資源型なので、ニッチな市場で生き残ることができます。ただし提供される製品やサービスには相当程度の独自性が要求されます。

現状、ステップダウンにある事業は、イノベーティブ、サステナブル、ユニークに向かって事業ポジションの計画的転換を開始しなければなりません。

脱炭素経営は、現状の事業活動の単純な延長にはないという現実を、しっかり受け止めてください。

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