いうまでもなく現在の日本社会は資本主義社会です。
資本主義社会がどんな社会なのかについては、さまざまな説明の仕方があると思いますが、
ひとつの特徴は、「お金」の運用を軸にした社会だという点でしょう。
株主は、
「お金」を最大に増やしてくれると想定される会社(株式会社)を探して投資します。
会社(株式会社)は、
株主の期待に応えるべく、預かった「お金」をできる限り運用して増やします。
期待に応えられた会社は、さらに株主の「お金」を集めて成長し、
期待に応えられなかった会社は、「お金」を失って滅んでいく。
それが資本主義社会の根本的な掟です。
こうした会社の頑張りによって、社会全体の活動効率が改善され、経済社会が成長し、
暮らしが豊かになっていくというのが、資本主義社会の理念なのだと思います。
それは「お金」の運用効率を軸にして成長していく社会です。
そして経済の成長とは、おおむね化石燃料の消費の増大でもありました、
しかし、この資本主義には一つの暗黙の前提がありました。
それは、「資源が無限に手に入る」です。
ところが現実には、資源は無限ではありません。
これから様々な資源が枯渇していきますが、
経済社会に最も深刻な影響を及ぼすのは化石燃料の枯渇だと思われます。
計算の仕方によりますが、
2050年頃には、石油も石炭も天然ガスもウランも手に入らない時代がやってくる可能性があります。
化石燃料が失われれば、否応なく再生可能エネルギーで全ての社会的活動を支えなければなりません(脱炭素社会)。しかし、掘れば掘るだけ使えた化石燃料とは異なり、再エネは2つの本質的な制約を抱えていることに注意を払う必要があります。
制約1:供給量が簡単に増やせない
制約2:蓄積が難しい
この再エネの2つの制約によって、脱炭素後の社会はこんな姿になるのではないかと想定します。
まず、②蓄積が難しいという性質により、経済社会における再エネは一定期間の「使用権」として取引されることになるでしょう。
次に、①供給量が簡単には増やせないという制約により、再エネの「使用権」の所有者は、再エネを最も効率よく利用してリターンを返してくれると想定される会社を探し、「使用権」を投資することになると思われます。
会社(株式会社)は、
出資者の期待に応えるべく、預かった「使用権」をできる限り良い効率で利用して付加価値を増やすように努めます。
期待に応えられた会社は、さらに多くの「使用権」を集めて成長し、
期待に応えられなかった会社は、「使用権」を失って滅んでいく。
それが脱炭素社会の根本的な掟になるかもしれません。
現在の資本主義社会は「お金」の運用効率を軸にして、量的に急成長する社会ですが、
脱炭素後の資本主義社会は「使用権」の利用効率を軸にして、質的に緩やかに成長する社会です。
そんな社会を、私は「エネルギー資本主義社会」と呼んでいます。
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