やがて3回目の短答式試験が巡って来ました。
この年から試験制度が大きく変わり、短答式試験は延べ2日間で実施されるようになりました。
試験時間の長さに余裕ができたことや、短答式試験の合格を翌々年の論文試験まで繰り越せるようになったことは、何かとダッシュが効かない社会人受験生にとっては好材料でした。
相変わらず私の模擬試験の成績は「E」のままでしたが、この年の短答試験に際しては不思議な確信があったような気がします。
実際、私の会社法と監査論の成績は満点に近かったでしょう。
原価計算もそれなりの成績だったろうと推定されました。
しかし会計学(簿記)では再び苦戦を強いられてしまいました。
試験では全体で70%以上をしっかり確保しなければなりません。
1科目でも大きな失敗があれば致命傷です。
試験が終わって胸算用してみると、会社法と監査論が満点だという前提でギリギリ合格のはずでした。
しかし敢えて正確な自己採点はしませんでした。
いまさら仕方のないことです。
8月の論文試験まであと2カ月、迷っている時間はありません。
合格していることを信じて直ぐに勉強を再開しました。
そして8月、遂に論文試験本番への初挑戦となりました。
鉛筆使用禁止で連続3日間の試験です。
新試験制度に移行したばかりだった試験問題は膨大でした。
その中から確実に解答すべき問題を見つけ出し、着実に得点していかなければなりません。
しかしこの初めての挑戦で、私は体調管理に全く失敗してしまったのです。
真夏の暑い盛りの試験でした。
余裕を持ってリラックスして臨もうと昼休みに少しだけお茶を飲み、早めに会場に戻りました。
しかしそれが失敗のもとでした。
論文試験の試験時間は、最長の会計学の場合で、正味の試験時間3時間、前後の諸注意や答案回収の時間を加算すると4時間も室外に出られなかったのです。
開始前、既に危険な「兆候」を感じ、試験開始直前のギリギリの時間にトイレに行こうとしましたが、
「席に戻って下さい!」
と無情にも監督官に止められてしまいました。
その後、次第に尿意が高まり2時間経ったところで挙手をしてトイレに行くという失態を演じました。
監督官に付き添われて小走りでトイレに行き、席に戻ると、周囲は猛烈な勢いで問題を解いています。
この年、ただでさえ問題量は膨大だったのです。
席に戻った時、すでに私の緊張の糸は切れていました。
「もともと自分は計算が遅いのに、今からでは、もう絶対に間に合わない・・・」
こうして初回の論文試験は完全な失敗に終わりました。
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