猛勉強を始めてからは、日々の仕事の不安感からも解放されてよく眠れた気がします。
勉強こそがたった一つの希望でした。
それでも勉強中にどうしても思考が煮詰まってしまうことはあり、計算科目から論理科目へ、苦手科目から得意科目へと科目を変えながら、なるべく手を止めずに気分転換していました。
そんな生活が4年間続きました。
全ての勉強時間を合計すると累計で1万時間をはるかに超えたでしょう。
一般には会計士合格まで5000時間ともいわれるようですから、私の受験は長い方だったかもしれません。
私が受験を始めた頃の試験制度は、まず年1回(6月頃)の短答式試験にまず合格し、同じ年の8月の論文試験に続けて合格する必要がありました。
短答式試験は3時間の選択式問題で、「簿記」「原価計算」「会社法」「監査論」「財務諸表論」の5科目について一気に回答します。
それに続く8月の論文式試験は3日間連続の試験で、短答式の5科目に加え「経済学」「経営学」の7科目で行われていました。
1年目の短答式試験に失敗した時は仕方がないと思いましたが、勉強を始めて丸2年経った頃、1日でも早く短答式試験をパスしなければならないと焦りはじめていました。
試験直前にはどうしても神経質になります。
この年、年始のいつもの気楽な恒例行事だったおみくじが怖くて引けませんでした。
ところが短答式試験も間近に迫った5月上旬になって、友人から鎌倉で「お土産だよ!」とおみくじを貰ってしまったのです。
それはなぜか日光の三猿の絵のおみくじでした。
ずっと読めずにいたそのおみくじを、
「よりによってこの時期に貰ってしまったのだから、やはり読んでみなければなぁ」
と思い直して開封してみたのが試験の直前でした。
するとそこにはこんなことが書いてあったのです。
「いまは自我を捨てて他人に従う低姿勢をとる方が得。何事も相手に一歩ゆずる心のゆとりが欲しい。
「能ある鷹は爪をかくす」しばらくの間は新しい知識を誇らずに次の大きなチャンスをじっと待つこと。
焦らずにここで力を蓄えておけば、必ず実力を発揮する場が訪れる。
【学業・技芸・試験】実力が十分に出ないで苦しむ。
しかし才能はいずれ認められる。もうひと踏んばりの頑張りが必要」
ちょっとだらしの無いことですが、時期が時期でもあり、かなりショックを受けました。
実際、この年6月の短答試験には歯が立たなかったのです。
もちろんその理由は明白で、まだ全くの勉強不足だったためなのですが。
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