勤勉な日本の生産性が、なぜ上がらないのかを考え続けて、
とうとう15冊目の出版になってしまいました・・・
全ての会社経営やB to Bに関わる方に、
ぜひ考えてみて欲しい75のヒントを書き込んでいます。
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些末なものを除けば・・・
費用は変動費と固定費に大別できます。
変動費と固定費は、誰でも知っている概念だと思いますが、
それを少し深掘りしてみたことはあるでしょうか?
★変動費は、従業員が管理を任されている費用です。
管理が出鱈目にならないよう原価標準が決められていて、
「比率」で管理されます(原価標準と実績の比較など)。
管理目標は無駄使いしないこと(コストダウン)。
これに対して
★固定費は、経営者が管理する費用です。
ヒト・モノ・カネといった経営資源を支える費用が代表的で、
「金額」で管理されます。
管理目標はしっかり使って活かすこと(生産性向上)。
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変動費と固定費を混ぜると、正しく管理できません。
「比率」で管理すべき費用と、
「金額」で管理すべき費用を混ぜたら
異常値が発見できませんし、
シミュレーションだってできません。
事業計画も作れません。
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無駄使いしてはいけない費用と、
しっかり使うべき費用を混ぜたら
コストダウンと生産性向上の両方で失敗します。
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そもそも、
従業員の仕事(変動費)と
経営者の仕事(固定費)を混ぜたら、
従業員の頑張り(生産性)を評価することすら
できないのです。
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・・・と考えたら、
変動費と固定費の分離はMUSTですが、
従来の会計(財務会計・管理会計)は、
この分離に失敗していました。
「全部原価計算」は論外としても、
いわゆる「直接原価計算」ですら、
「変動費・固定費」と「直接費・間接費」が
混同されていたからです。
こうした混同は、
「直接部門のコスト」とか、
「間接部門の生産性」といった
私たちが日々使っている慣用的な表現にも現れています。
今まで誰も、気にならなかったんですね。。
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上記の考察から導かれるのは、
恐らく全ての国内企業(少なくとも全ての製造業)で、
「生産性が正しく測定できていない筈だ」
という、少し怖い結論です。
生産性が測定できなければ、
頑張れなかった従業員をサポートすることも、
頑張った従業員に「ありがとう」と言ってあげることもできません。
それでは人材は育ちませんし、生産性は向上しない。
会社の業績が「根本的に改善」する筈もなかったのです。
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「会計がおかしい」と感じ、
技術者から会計士になってしまった私自身の体験も踏まえ、
これが、日本経済30年の停滞の根底にある問題だったと
私は考えます。
それならば・・・
今改めて、費用管理の混乱を解消し、
変動費と固定費を、それぞれ正しく管理すれば、
コストダウンも、
生産性向上も、
人材育成もイノベーションも、
CO2削減も、全て成功するはずだ(!)
というのが私の結論です。
だって、
日本人は世界でも希に見る勤勉な国民なのですから。
こうした根本的な議論が、
会計・経営の世界で今まできちんと行われてこなかったことは、
本当に驚くべきことです。
生産性って、とても安易に使われてきた言葉ですが、
「生産性向上」とは何を目指す活動ですか?
「経営する」とはどういうことですか?
もういちど、会社のあるべき姿、
費用管理のあるべき姿に立ち戻って考えれば、
日本を元気にするヒントがたくさん見つかりますよ!
というのが、
この15冊目の本で私が伝えたかったメッセージです。
どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
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