利益ではなく、付加価値を目標にすべき理由

利益と付加価値。
似たような場面で使われることも多い2つの言葉ですが、その違いを御存じだったでしょうか?

会社はコスト(変動費)をかけて売上を実現し、差額としての付加価値を獲得します。
その付加価値は、ヒト(固定労務費)・モノ(減価償却費)・カネ(銀行金利)といった経営資源に分配されて会社を強くしていきます。最後に残るのが利益(株主利益)です。
管理会計のP/Lで、付加価値と利益の違いを確認してください。

売上高
-変動費
=付加価値
-固定労務費
-減価償却費
-固定金利
=株主利益

例えば、ここに2つの会社(A社、B社)があるとします。
A社は、売上100万円で付加価値は20万円、
この20万円を、従業員に5万円、設備投資に5万円、銀行に5万円分配した結果として5万円の株主利益を実現しました。
B者は、売上100万円ですが付加価値は12万円、
この12万円を、従業員に1万円、設備投資に1万円、銀行に5万円分配した結果として5万円の株主利益を実現しました。

2つの会社の売上高と利益は同じですが、実力が全く違うことは明らかでしょう。
A社は、ヒトとモノに付加価値が分配できているので、人材獲得や育成や設備投資に成功し、成長と分配の好循環が起きているに違いありません。
B社は、ヒトとモノに付加価値が分配できていないので、人材獲得や育成や設備投資に失敗し、縮小と衰退の悪循環が起きているに違いありません。

しかし、この実力の差が、既存の会計では見えません。

<A社・B社>
売上高(100)
-売上原価と販管費(90)
-営業外費用(5)
=利益(5)

これにより、以下の結論が導かれます。
①利益は固定費分配次第で操作可能なもの
②付加価値を見なければ、事業の実力は分からない。
③付加価値を見なければ、事業の危機に気付けない
④付加価値でなければ、全員の目標にならない

④の補足ですが、
利益だけを増やそうとすると、育てるべき従業員がコストにしか見えず、労務費を取り上げて利益を増やすという発想に陥りがちです。しかしそれでは従業員は業績回復に向かって本気になれず、結果的に株主も損をすることになります。

これが日本の30年の停滞の一つの原因であった可能性があります。

この問題の解決方法は明快で、
各社が、付加価値が見える管理会計を導入すればよいのです。

「利益」を目標にすることは、疑われることのなかった常識中の常識だったと思いますが、そこにも思わぬ問題が隠れていたことを、知ってください。

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