コストダウンか? 売価アップか?

だいぶ前になりますが、製造業関係者を対象にした1日セミナーをやりました。

AMの講義では、2つの扇風機を示して皆さんに問いかけました。
「暑くなってきたので扇風機を買おうと思います。
ネットで調べたら選択肢は2つ。
扇風機A:値段は2500円、納期は1カ月
扇風機B:値段は3500円、納期は翌日
デザインと性能はほぼ同じです。
さて、皆さんならどちらの扇風機を買いますか?」

結果はどうだったか?
全員が扇風機Bを選びました。

PMの講義では、ある赤字のP/L(※)を示して、再び皆さんに問いかけました。
※売上原価が1行の財務会計のP/Lではなく、内訳をきちんと示した正しい管理会計のP/L。
「当社の当期損益は赤字です。
来期の黒字化を目指して、皆さんならどんな対策を実施しますか?」

皆さんの答えは、コストダウンでした。
ではどんな費用をコストダウンしますかと尋ねると、製造労務費や物流費といった答えが多かったのです。

その結果を踏まえて、私は皆さんに申し上げました。
「国内製造業は製造労務費の削減ばかりやってきましたが、それも限界に近づいています。
今さら10円、1円のコストダウンだって容易なことではありません。
でも、覚えていらっしゃいますか?
皆さんはAMに1000円高くても早く届く扇風機を選びました。
売り方を変えるだけで1000円も価値を高められる可能性があるのは凄いことだと思いませんか。
物流費を節減するのではなく、もっと物流費をかけて、売価を上げるという発想もすべきだと思います」

製造業が、なかなかこうした発想ができないのは、
普段から売価~製造部門の変動費~販売部門の変動費までを一気に見渡せる会計を使っていないからだと私には思われてなりません。

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