正しい管理会計の鉄則は、変動費と固定費をきちんと分けることです。
当然、労務費も変動労務費と固定労務費とで管理を分けなければなりません。
その理由は、変動労務費と固定労務費では、
管理方法も管理目標も全く違うからです。
変動労務費を担うのは、たとえばアルバイトの方々です。
管理方法は、生産活動量等に対する発生額の比(原単位)の確認になります。
想定される管理目的は、なるべく無駄に使わないこと。すなわちコストダウンです。
私は、この変動費労務費の管理を「コストの道の管理」と呼んでいます。
これに対して、
固定労務費を担うのは、例えば正社員の方々です。
管理方法は、あらかじめ定められた金額が遵守されているかどうかの確認。顕著な金額的逸脱があった場合は、その理由を確かめなければなりません。
管理目標は、しっかり使って活かすこと。すなわち生産性向上です。
私は、この固定労務費の管理を「資源の道の管理」と呼んでいます。
コストの道の管理と、資源の道の管理。
2つの管理の違いが分かりやすいのは、例えばテレワークでしょう。
遠隔でPCの前に何時間座っていたかを監視するのはコストの道の管理です。
その時間、何を達成したのか等はあまり問われません。
着席時間が長ければ長いほど、それに応じて賃金が支払われることになります。
こうした管理方法は受動的な勤務態度に結びつきやすく、ダラダラ働きの原因になります。
これに対して、
達成すべき目標や課題を明確にし、時間管理は本人に任せるのは資源の道の管理です。
何を達成したかが問われる一方、何時間着席したかは問われません。
超短時間で達成したなら、残りの時間で何をしても/しなくてもOKです。
もっとも、真に生産性の高い人は、主体的に活動します。
時間を無為に過ごすことはないでしょう。
注意すべきなのは、
本来、資源の道を歩んでもらわなければならない正社員を、コスト呼ばわりし、時間で縛り、しかし課題は不明確という状態に置いておくと、主体性を失ってしまうということです。やがて本当にコストとしての態度を身に着けてしまうということです。
こうした事態を避けるための方法の一つが、人材育成の方程式です。
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