あるべき固変分解を、考える

管理会計において、固定費と変動費の区分は極めて重要です。
区分しないと、損益分岐点分析はできませんし、シミュレーションもできません。
事業計画も立てられません。

念のため固定費と変動費のおさらいをしておくと、こんな感じ。
変動費:売上高の増減に比例して増減する費用
固定費:売上高の増減にかかわらず発生する費用

でも、そもそも固定費と変動費って、どんな風に見分けたら良いのでしょうか?

簿記2級などでは、
最小自乗法、散布図法、高低点法、勘定科目法などで固変分解するように教わります。

例えば散布図法では、売上高の増減と費用の増減をグラフに書いて眺め
変動費的要素と、固定費的要素を分けていきます。

しかし、
こんな表面的/受動的な方法で固変分解するように教えられてきたことは驚きです。
なぜなら、変動費と固定費には、もっと本質的な違いがあるからです。

<管理方法の違い>
変動費:標準原価を定めて、比率で管理すべき管理
固定費:予算金額を定めて、金額で管理すべき管理

<管理目的の違い>
変動費:コストダウン(なるべく使わない)に努めるべき費用
固定費:生産性向上(しっかり使って活かす)に努めるべき費用

<管理責任の違い>
変動費:担当者が業務的意思決定によって管理する費用
固定費:経営者がヒト・モノ・カネ等に関わる経営的意思決定によって管理する費用

こうして考えてみると、変動費と固定費は
経営の意思で、能動的に区分されるべきものだと結論できます。

〇〇費は標準原価を定めて担当者に管理を任せ、無駄遣いがなかったかどうかを比率で管理したい・・・重要な変動費

〇〇費は予算額を定めて経営者自身が管理し、逸脱がなかったかどうかを金額で確認したうえで、生産性が向上しているかどうかを管理したい・・・重要な固定費

しかし不思議なことに、
今までこうした方法で固変分解をすべきと教えられてこなかったので、
名前がないのでちょっと不便。

そこで、これを「管理目的法」による固変分解と呼ぶことにしましょう。

もちろん、販売費や些末な費用の中には、性格が曖昧なものがあります。
こうした費用については、
最小自乗法、散布図法、高低点法などを適用することになるでしょう。

また、一つの費用(たとえば電気代)を、無理に変動費/固定費に区分する必要はなく、
変動費として管理する部分(たとえば日々の使用量)と、
固定費として管理する部分(基本料金部分やベース負荷)があっても良いのでは?

というのが、私からの提案です。

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